2016年10月11日火曜日

富士フイルム 中判ミラーレス GFX 50S を考えてみる

富士フイルムといえば,勿論フィルムメーカーとして誰もが知っている企業です。写真を撮る時かつては誰もがお世話になったと思います。現在でもリバーサルを製造してくれる神様のような存在です(笑)

2017年に発売するという中判ミラーレスデジタルカメラ GFX 50Sについて考察してみたいと思います。

中判,というフォーマット

何と言っても,GFX50Sの特筆すべき点はMedium Formatにあります。現在でも中判,大判のフィルムはありますし,デジバックを使えば,ハッセル・マミヤ等のボディーで中判デジを楽しめます。ただ,それらのフォーマットを100%使い切るデジバックは無さそうです。従って,GFXの43.8*32.9 mmのフォーマットでも十分戦っていけると思います。

デジバックは交換することで世代交代が容易に出来,今後例えば67サイズを100%対応するセンサーが登場したとき,ボディーはそのままでデジバック交換で使い続ける事ができる…という事も可能です。しかし値段も相当するはずですし,当分は出ないと思うのでGFXでも大丈夫と思います。

但し,GFXのGマウントでは既にセンサーサイズギリギリまで大きくしているみたいなので,センサーサイズはより新しく大きいマウントにならない限りこのままだと予想できます。

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フルサイズと比べて約1.7倍の面積となりますが,中判レンズは35mmまでと比べて暗いレンズが多くなります。従って,被写界深度で差はあまりないかもしれません。しかし同じ画素数に揃えたとして,より大きいセンサーサイズのほうがより大きなピッチで余裕が有るため,DRや解像力は比べ物にならないと思います。

D800(E)の登場は衝撃的で,中判を凌駕するのではと話題になったほどでした。5Ds(R)は約5060万画素となり高画素競争は続いています。今回登場したGFXは約5140万画素とほぼ同等です。画素数で比較するのは好きではないのですが,同じ画素数で比較したとき,中判デジとフルサイズ機ではどちらが有利か,はっきりしています。

35mmのポジより645,645より67の方がより緻密で繊細に写っており,感動が桁違いなのと似たようなものだと思いますが,どうでしょう。


ミラーレスであるということ

ミラーレスということは,ミラーショックはありません。フォーマットが大きいため,ピッチも大きく,ブレには強いと思いますが,中判のミラーを動作させるとどうしてもショックが大きくなります(ミラーが大きいから)。バランサーや構造を検討するより最初から動作部分を排除することでショック自体起こさないミラーレスは非常に良い選択だと感じます。コストも抑えられますし,コンパクトです。

AFでもMFでも,センサー面で直接ピントを合わせるため,極薄被写界深度であっても大丈夫です。ピントのズレはレフ機と違い,原理的に起こりません。AF方式は探せませんでしたが,恐らくコントラストAFではないかと思われます。レフ機の場合,位相差センサーの有る箇所でしかAFは効きませんが(ミラーアップ撮影を除く),コントラストAFは遅い代わりにどこでもAFで合焦させることができるため,AFポイントに縛られることはありません。像面位相差の搭載がなされると,より速いAFへと進化するのではないでしょうか。

現時点でフォーカルプレーンシャッターではありますが,電子シャッターが後継機に搭載されてくると,シャッターブレもなくなります。


フランジバック 26.8 mm

このGFXはフランジバックが26.8mmという短さであります。勿論ミラーレスという強みを活かしたものです。有名そうなマウントのフランジバックは次のようになっています(単位はmm,Mar. 18, 2017 追記)。
  • Sony Eマウント:18.0
  • Nikon Fマウント:46.5
  • Canon EFマウント:44.0
  • Bronica ETRマウント:74.0
  • Pentax 67マウント:70.87
  • Mamiya RZマウント:104.0
フランジバックが短いと,こんないいことがあります。マウントアダプターを介して純正だけでなく沢山のレンズが使えます。勿論,絞りの連動やレンズシャッターの連動など簡単に使えるとは言いませんが,最高1/4000sのフォーカルプレーンシャッターを内蔵してるのでシャッターの問題は解決できそうです。絞りも恐らくマウントアダプター側で対応できると考えられます(予め絞り込んでおくとか)。

現に,ソニーのEマウントはその非常に短いフランジバックのお陰で,沢山の(オールド)レンズが使えるようになっています。キヤノンも,マウントアダプターを用いてニコンのレンズを使うといったことが可能です。

流石にフルサイズと言われる35mm向けのレンズではイメージサークルの問題でGFXですべてが使えるというわけではないと思いますが,中判・大判向けレンズは使えるようになると思います。RZとかのレンズ側にヘリコイドが無いものは,ヘリコイド付マウントアダプターとかになると思いますけどね。

他社レンズを初めからすすめるのはどうかと思いますので,純正のレンズについてですが,富士のレンズはテレビや映画制作もお手の物の素晴らしいレンズが揃っており,期待できます。


今後,中判・大判レンズの中古需要が高まり,中古価格が高騰しないといいのですが。


X-Transではない

富士フイルムのデジタルカメラの魅力はX-Transセンサーに有ると考える人は少なくないと思います。一般的なBayer配列のセンサーよりモアレや偽色が出にくく,光学ローパスフィルターがなくても大丈夫!なセンサーのようです。Foveonがベストなセンサーではないかと個人的には思っていますが,特許で固めてあるので,富士といえばX-Transです。

しかしながらGFXはBayer配列です。これはセンサーサイズが大きく,余裕が有るためBayerで大丈夫と判断されたようです。詳しくは全く分かりませんが,現像に必要な演算は高画素というだけで多くなります。それに加えてX-Transの特殊な配列ではユーザーが扱いきれないと判断もあったのかもしれません。

恐らく,現在発売されている中判センサーを流用したりすると思います。X-Transにすると大量にバンバン売れていく価格帯ではないので量産効果が少なく,価格高騰につながるという事も有るのでしょう。

将来的にはX-Transを搭載するようになるかもしれませんが,それはそれで良いことではないでしょうか。


手ぶれ補正がない

手ぶれ補正が搭載されていない事が不安だと感じるかもしれません。初期に登場するレンズに手ぶれ補正が無いところを見ると,もし登載するならば次の世代でボディー内に搭載するのではないでしょうか。もしボディー内手ぶれ補正が搭載されれば,先ほど述べたマウントアダプターを介したレンズ遊びでも手ぶれ補正できるので大歓迎!

気になるなら三脚を使用することをオススメします。尤も,フィルム中判は手ぶれ補正なんてありませんが,手持ちでもしっかり持てば大丈夫ですよ,重いけど。重いほうがブレにくくて良いです。


まとめ?

デジのフルサイズ機はCanonとNikon,そしてSonyで独占しているので,後発の富士がフルサイズ機を出しても正直厳しかったと思います。中判デジならば,レンズ資産も余り関係せず,フルサイズ機と競合しない為,いいところを攻めたなと感じます。

中判デジを手軽に購入できるようになるのは楽しみですね。動画も撮れるみたいですから,5D系を置き換えたりするのでしょうか。この動画,GFXで撮影されているんだよ!なんて想像するだけで楽しいですね。


これを機に中判フィルムの更なる縮小とかにならないことを祈ります。。

2 件のコメント:

  1. 販売されましたね、買えませんが、気になる一台です。
    フランジバックが短いミラーレスなので、35ミリの一眼用がだいたい付きますね、接点が連動してなくても、映るのであれば、楽しみです。
    AEも動いてもらえるとゆうことなしですね。割と望遠系のレンズなら問題なく映ったりします。

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    1. 私も買えませんが,レンズもどんどん増えていくようなので今後も気になり続ける機種になりそうですね。

      確かに望遠系ならケラれないレンズも多くなりそうですね。ケラれても面白い写真になりそうです。


      純正のマウントアダプターにH Mount Adapter Gと,大判レンズ向けのView Camera Adapter Gが出るようです。
      http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/gfx/fujifilm_gfx_50s/pdf/index/gfx_catalogue_01.pdf

      前者は電子接点が付いて絞り優先AEとマニュアル露出,ボディー内フォーカルプレーンシャッターとレンズシャッターが選べるみたいです。電子接点のない他のレンズでもAE連動してくれると大分楽できそうですね。

      後者はシノゴのフィルムバック部分にGFX 50sを装着するアダプターなのでマウントアダプターといえるか不明ですが,中版デジということでじっくり且つ何枚でも撮ってその場で確認できるので非常に素晴らしいカメラだなと感じます。

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